借地権の種類について

借地には借地権というものが設けられています。
地主が土地を返してほしいと思っていても、それを逆手に取った借主から不当な“立ち退き料”を要求される事態を防ぐために、賃貸期間や契約、更新についてなど定めているものです。

その借地権というものも、借地として貸し出すための期間や形式、また用途などによっていくつかの種類があります。
借地権の種類が、借地の種類であるとも言い換えられるかもしれません。

これまでに説明したのは、定期借地権と普通借地権。
定期借地権は正式には「一般定期借地権」と呼ばれており、内容は以前説明したとおりです。
その他、現在の借地権には事業用定期借地権、一時使用目的借地権、建物譲渡権利付借地権があります。

現在の借地権に対し、一昔前の借地権は「旧借地権」と呼ばれています。
ご存知の通り、旧借地権は地主にとって不利なことが多い内容となっていました。
そのため、現在施行されている借地権についてメリットなどを説明する場合、旧借地権との違いを比較したうえで説明していることが多いですね。

上記5種類の借地権について述べている条文は借地借家法です。
一般定期借地権はその22条、普通借地権は3条、事業用定期借地権は23条、一時使用目的借地権は25条、建物譲渡権利付借地権は24条にて、根拠が述べられています。
同じ「借地権」とは言っても細かい違いがあるので、何らかの立場で借地に関わる際には注意が必要です。
これらそれぞれの借地権についても、いずれ説明したいと思います。

借地のトラブル

借地と言えばトラブルがつきもの。
地主が貸している人以外の第三者に、勝手にその土地を売ってしまったというケースも、信じられないことに普通にあるようです。

そうなると新しい地主さんから土地を借りる形になるわけですが、もし新しい人が良心的な人ではなく、今すぐその借地を明け渡すか、もしくは買い取ってくれなどと突然要求して来られたら、借りている側はどうしたらいいのでしょう。

そういった常識的には考えられないトラブルは多く、なんとなくイメージとしては地主の方が有利な立場である感じもしますが、もちろんその要求に応じなくてもOKです。

借地の上にある建物の所有者が“借地人”であるという登記がされているのであれば、土地を買い取った新しい地主は、今住んでいる人の分の借地契約も引き継ぐことが前提となります。

なので自分がもし借地に住んでいる側の立場になるのであれば、元の地主に対して持っていた権利を、そのまま新しい地主にも主張できるということを覚えておくといいでしょう。

つまり、下手に出なければいけないのではなく、自分の権利として主張できる、毅然とした態度で接しても大丈夫ということなのです。

逆に、本当にその地を明け渡すこととなっても、立ち退き料(借地権価格に相当するもの)を要求することができるのです。
また、その土地を本当に買い取る場合でも、その土地の価格から“借地権価格”というものを差し引いた価格で買い取ると要求することも可能です。

借地が多い地域?

最近はマイホームを購入するにあたり、新規で土地も同時に購入するというのが当たり前ですよね。

でも、親や祖父母から土地だけもらって家を建てたという場合、贈与税などの問題を避けるために、名義である親や祖父母が亡くなるまでは、借地として借りる形をとる人もいるようです。

また、築50年以上の古い家などが沢山残っているような地域では、借地の家が多いと聞きます。もちろん地域によっても状況は違うかもしれません。

うちの祖父母は田舎の方でも少しだけ街よりなので、広大な広い土地が空いていなくて購入できず、最初は狭い土地に小さな家を建てたそうです。
やがて隣の家の人が引越ししていき、もう片側の隣の人も引っ越ししていき、その両隣の家を買い取って、つなげてリフォームして、大きくしていったようです。

ただ、その元々の家の持ち主の人の片側の家は借地。
なので祖父母もその借地をそのまま引き継ぐ形となりました。つまり、家の一部だけ借地ということになります。

昔は隣の家と自分の家がピッタリと隙間なくくっついているところが多く、それぞれの1軒が狭かったので、こういったやり方で増築していく人も少なくなかったようです。

それが時代とともに、住みやすい環境の地域に移っていったり、建て替えだ同居だなんだで住む人の状況も年々変わっていき、自分の家を手放す人が今と比べると多かったのでしょうね。

半分は借地、半分は自分の土地、というように複雑な状況で住んでいる人も、古い家ばかりある地域では珍しくないのかもしれませんね。

借地を相続した場合

借地を譲渡した場合は名義書換料を支払わなければいけません。
では、借地を相続した場合はどうすればいいのでしょうか。借地人であった親が死亡して借地を相続した場合は名義書換料は支払うことになるのかどうかという質問があります。
借地を相続した場合には、借地契約というものは、親の死亡によって、自動的に相続する方に引き継がれるものです。
そのことを。包括継承という。
ですから、名義書換料を支払わなくてもいいことになっています。
もちろん譲渡の場合とは違いますので、地主に承諾する必要もないのです。

たとえ地主が、名義書換料を支払わないと、借地の名義の変更に応じないといっても払う必要はありません。
遺産を相続した時点で、地主さんとの借地契約を引きついでいることになり、借地人となっているわけですから。
よく、借地人が死亡したのだから、その土地を返却して欲しいと地主が要求する場合がありますが、それに従うこともありません。

相続によてい借地権も相続財産となり、相続税の課税となりますので注意しましょう。
広い土地を借りている場合は土地の評価が高い場所ですと、多額の相続税の支払いが発生します。

古くから土地を貸している場合、契約書がきちんとされなていなかったりする場合があります。
相続の際にきちんと契約書を作成するのも良いでしょう。
その場合は、借地期間を慎重に決定し更新料の支払いの問題もきちんとしておくと良いでしょう。

借地権を譲渡する場合

借地権を譲渡する場合はどういった手続きなどが必要なのでしょうか。
借地権を譲渡または、貸す場青には事前に地主の承諾が必要となります。
勝手に借地権を譲渡したり貸したりはできないことになっています。
それは民法612条に定められています。
借地人が借地権を勝手に譲渡した場合は地主が借地契約を解除できるというものです。
今までの判例では、「信頼関係を破壊すると認めるに足りない特段の事情」という時には契約を解除できないとされたそうです。
もちろん借地の上に建っている建物を譲渡したり貸す場合も地主の了解を得なくてはいけません。
もちろん、地主側は譲渡する相手に何の問題もない場合はその譲渡等を承諾しなくてはいけませんが、例えば、譲渡される方の財力が地代を支払う能力がないとみなされる場合や、譲渡によって地主が不利な状況となるような場合は裁判所に「承諾に代わる許可の裁判」を依頼することができます。
その反対に、全く問題のない相手に譲渡しようとしているのに、地主が承諾しない場合も裁判所に「承諾に代わる許可の裁判」を求める権利があります。
その際は裁判所の真理に従い、今後借地を譲渡するのかどうかを決定します。

譲渡する場合は、名義に書き換えが必要となります。
その名義書換料は借地権の価格のおおよそ10パーセント程度が相場となっています。
借地権の価格も借地の場所によって違いますが、土地の評価の7割程度が多いかと思います。

借地と底地

借地について勉強するなら、同時に底地についても知っておきましょう。
「底地」は「ていち」と読むのではありません。「そこち」です。お間違えなく。

底地とは土地のことではありますが、これは主に土地に関する権利を表すために使われている言葉です。
土地には二種類の権利があります。
ひとつは、これまでにも説明してきた借地権。
土地を利用する権利です。
そしてもうひとつが底地権というもので、利用は借主の自由だけどあくまでも土地は貸主のもの、という土地の所有権が底地権となります。

土地を“敷地”と表現してしまうと借主が“利用できる範囲”と捉えられてしまうので、土地の根底に根付く所有権という意味で“底地”と呼ばれるようになったようですね。
ただし、“底地”は正式な単語ではなく、“底地権”も実際に定められた法律ではありません。
不動産業界において、借地権等とはっきりと区別させるために使われている業界用語です。
ただ、それだけにこの言葉を知っていると、借地について詳しいかのように思われるでしょうね。

ところで、底地権と借地権、どちらの方が権利が強いのでしょう。
底地権とは土地の所有権のことですから、こちらの方が強みがあるように感じられますね。
しかし、借地権を与えることによって、期間内であれば土地の利用は借主の自由となります。
借地権によって建物を建てれば、自分で住むも良し、賃貸経営するも良し。
対し、底地権は持っていても何もすることができないのですね。
所有者だというのに、なんとももったいない話です。

普通借地権について

以前定期借地権についてご説明いたしましたが、定期借地権とはいくつかある借地権のうちのひとつです。
借地権には普通借地権というものもあり、借地権を大別すると、この普通借地権と定期借地権とに分かれます。

そもそも借地権とは借りた土地を利用する権利のことで、その権利に期間を設けたのが定期借地権です。
昔は期間を定められていなかったがために土地を貸すと返してもらえなくなる可能性があり、その問題を解決するために定期借地権が定められました。
そのため、定期借地権では契約期間を50年以上から定められ、更新は必要で、契約期間を延長しないようにもできます。
定期借地権とは借地を借りる人の権利ではありますが、貸す人にとっての救済となる法律なのですね。
期限がくれば必ず土地を返してもらえる、それが定期借地権。

対し、普通借地権は契約期間こそ30年以上からと短めになっているものの、更新は特に無くても構いません。
かといって延長が出来ないわけでもありません。
すると、土地をなかなか返してもらえない可能性があり、なんとかして返してもらうには立ち退き料が必要になるかもしれません。
・・・こんな法律どこかで聞いたことがあると思いませんか?
そう、昔の旧借地法です。
つまり、普通借地権とは旧借地法を踏襲した権利なのですね。

さらに突き詰めて言うなら、新借地法によるものが定期借地権であり、旧借地法によるものが普通借地権となります。

地代に関係する要素

借地について話をするとなると「地代」なる単語が頻出しますので、今のうちにこの地代についてご説明いたします。

地代は「借地料」とも言って、借地の貸主に借主が支払うレンタル料のことです。
賃貸アパートやマンションで言う家賃ですね。
家賃が土地柄や建物など様々な要素によって決定されるように、地代も様々な要素によって決定付られています。
家賃と違うのは、地代は家賃以上に複雑だということです。
地代に関係する要素は主に以下のとおり。

◇借主と貸主の関係
親戚だとか、知人、また関係会社間での賃借の場合、ある程度免除されることも考えられますね。

◇更新料等の有無
更新料があればその分安く、無ければ高い場合も。

◇借り始めた(契約した)年
年というより、時代と考えるべきかもしれません。
戦前か戦後かで地代は大きく変わります。
一般的には、契約時期が古ければ古いほど地代は安くなっています。

◇契約当時の借地の状態
現在は宅地であっても、当時は田畑や山林だったなら地代は異なる場合があります。

その他、地域特性や貸主の経営状況なども地代に関わってきます。
上記のうち、借り始めの年や契約当時の借地の状態などは、家賃には無い地代の特性ですね。

地代に対しては人によって大きな差があるのが現状です。
大きく2タイプに分けられるのですが、一方は古典派の経営学者による考え。
土地とは生産要素として特殊なものであるとし、地代とは質的に無関係としているのだとか。
もう一方は近代経営学者の論で、土地の生産要素と地代は必ずしも異質なものではないという考えです。

定期借地権について

定期借地権とは平成4年8月に施行された借地に関する法律のひとつです。
借地権に関しては、それまで貸主と借主の間で様々な問題が起こり得る可能性がありましたが、安心して貸主が所有している土地を借地として提供できるよう解決策のひとつとして、この定期借地権ができたのです。
定期借地権の概要は次のようになっています。

期間:50年以上から定める。延長はなし。
立ち退き料:不要

定期借地権が施行される以前の従来の法律では、まず期間については全く定められていませんでした。
そのため借地を貸したが最後、貸主に返される保証はなかったのです。
また、それでもなんとか借地を返してもらうには所謂「立ち退き料」を必要としましたが、期間が定められたことによってそれも不要となりました。

貸主の救済策となったこの定期借地権ですが、貸主と借主の両方にメリットがある反面、少なからずデメリットもあります。
メリットとデメリットのそれぞれをまとめると以下のとおり。

メリット:
・保証金は土地代の20~30パーセント程度。
・契約完了時には保証金は全額返還。
・時期を問わず解約可能。
・建物の建て方は自由。増改築も可能。
・賃貸、転売、相続が可能。

デメリット:
・返還の際には更地に戻すことが必須のため、解体費用がかかる。
・地代は必要。
・契約時に建物を住宅と定めてしまうと、将来事務所や店舗にできない可能性がある。
・中古市場が整備されていないため、転売条件があやふや。

新借地借家法ができるまで

借地法の歴史を遡ると、借地法のもっとも古い歴史は大正10年のことになります。
当時としては、借地法とはたいへん珍しい法律でした。
なぜ「借地法」なる法律が生まれたのでしょうか。

意外に感じられるかもしれませんが、借地法と密接に関係しているのが、歴史的な人災である戦争でした。
普通、借りものは貸主の要望があればそれに応じて返さなくてはいけませんよね。
貸したものは返してもらう、それが当然のことです。
しかし借地に関しては、なぜか貸主ではなく借主が優先されているのです。

立法前なら、対象が土地であっても貸主優先であるのは借地も同様でした。
ですが、明治時代に起こった都市の急激な発達に伴って、地価や地代に関しても急激に高騰するようになります。
すると、それに対応する術を持たない借主は、せっかくの建物を破棄して立ち退くしか方法はありません。
まるで地震によって建物が崩れるかのごとく相次いだ出来事は「地震売買」とまで呼ばれたのだとか。

これに対処すべく制定されたのが、明治42年の建物反故に関する法律でした。
この法律によると、建物登記さえしていれば半強制的に立ち退きを余儀なくされることはないというのです。
しかし、この法律は名称のとおり建物に関する法律であり、借地に関する法律ではありません。
この時点では、まだ貸主の方が優先的だったと考えられますね。

今では新借地借家法が制定されて有る程度公平にはなっていますが、旧法が有効な契約も残っているあたり、未だ完全に公平になっているとは言い難い状況です。